日記 2019/4/22 本の中の本の話

調子が悪い。

最近どうにも眠たく、眠たく、眠くて仕方がない。

午前中に終わらせるはずの作業は、予想を大きく上回って午後三時すぎに終わった。

 

三時半。作業に伴う外出をする。上着のいらない暖かさだった。

上着がないとどうにも無防備な感がして嫌なのだが、今日は無上着にした。

気温がちょうど良すぎるのだ。肌と外気の境目を見失うほどの適温であった。

 

用事を済ました後、ほんの少し足を伸ばしてカメラのフィルムを購入する。

ついでに本屋に寄った。

エリック・ホッファーの自伝が読みたかったのだ。

エリック・ホッファー自伝ー構想された真実』、お目当はこれだ。

以下に理由を書く。

最近すっかり人生の意味を見失っている(自分で掴み取るものなのだが、その元気もない)ので、先日、久々に書棚から中島義道著の『生きるのも死ぬのもイヤなきみへ』を取り出して読んでいた。

その中で、ホッファーが自殺を試みた頃を回想した部分がお目当本から引用されていたのだ。そしてその引用部分がとても心に引っ掛かった。自分の心情に重なる部分があったのだ。

ホッファーは自殺を試みたが失敗してその後も生きた人間だ。

なので、彼の自殺(未遂)のその後(の考え)について知ることで、私自身の考えに風穴を開けられるのではないか、と思ったのである。

(彼はものすごく波乱万丈な人生を送っている)

 

本屋に着き、本を探すも、なかなか見つからない。

探す途中、面陳列されていた同じくエリック・ホッファーによる『波止場日記』を手に取る。パラ読み(パラパラ読むって意味であって、メタとかパラとかパラグラフとかのパラではない)。

知識人についての色々(ネガティヴなこと)が書いてあるのね、は〜、面白そうだ。

数ページ読む。文章も読みやすいなぁ。

 

だいたいそんな感じ。

しかし、お目当ではないので棚に戻す。

辛抱強く棚差しされた本たちを睨んでいると、やっとお目当を見つけた。

エリック・ホッファー自伝ー構想された真実』を手に取り、目次を開く。

おお、あったあった、自殺について書いた章だ...

お目当本の中のお目当部分だ。ここが見たくて来たんだ。

しかし、目次の中にもう一箇所気になるところがあった。『エセー』について書かれている。(章名の詳細は忘れた)

『エセー』!私が一昨日、古本屋で手に取った『エセー』じゃないか!

そう。そうなのだ。また『エセー』と出会った。

もちろん有名な本なので、こうした形で出会うことはそう珍しくないかもしれない。

しかし、一昨日の古本屋でエセーを手に取った理由もまた、なんがしかの家にある本の中にエセーが出てきていたからなのだ。誰かがエセーはいいぞ、と言っていたんだ。本の中で。(誰の何なんだろう??)

本の中に出てきた本(実在)にまた本の中で出会ったのだ。

私は自殺についての云々をすっかり忘れて、この小さな偶然に心を躍らせた(小躍り程度だ)。

まぁいいじゃないか。どうせ今日の手持ちではお目当本は買えないし。

と、本来の目的の自殺についての部分を読まずに本棚に本を戻す。

(目的を果たすのは買ってからの方がいいだろう)

 

そのあとは、レイ・ブラッドベリの『刺青の男』を見に行った。

これも読みたかった本なのだ。ブラッドベリの作品は、タイトルが素敵だ。(『歌おう!感電するほどの喜びを!』とか素晴らしすぎる。ただこれは、ウォルト・ホイットマンの詩集『草の葉』に所収されている「アダムの子どもたち」内の一編の詩のタイトルから採られているらしい(ウィキ調べ)。もちろん中身も良い)。

去年『華氏451度』を読んでから、波が来ている...SF(ディストピア)の。

(『華氏451度』は新訳版のカバーも素敵だ。三部の最後の方は秋のセンチメンタルっぽい印象。新訳版p176.l10からのフェーバーのセリフが胸に刺さりすぎて付箋が貼ってある。「無知を隠せば、だれにも攻撃されず、何も学ばぬままだ。」勇気をもらった。あとはやたら地下鉄の広告の描写が印象に残っている。またちゃんと読もう...)

しかし、『刺青の男』が読みたかったのはSFづいているせいだけではない。これも去年読んだ(正しくは読みかけの)、稲見一良著の『ダック・コール』のモチーフになっていると知ったからだ。

こちらもパラ読み...と言うか普通に最初の方をチラと読んでみる。

刺青の男の描写が良い。刺青の描写が良い。幻想的でなんとも美しい感じ。

これは欲しい...しかし、今月の手持ちを考えると少し厳しい。

そもそも、読んでない積読本が家にたくさんあるじゃないか...

SFだってフィリップ・K・ディックの『ユービック』(読みかけ)と『いたずらの問題』が積んであるぞ!スタニスワフ・レムの『完全な真空』も読み途中じゃないか!

 

そんな感じで本屋から撤退。帰路に就く。

帰りに鉄塔を写真に撮って帰った。

 

狭いベランダに椅子を出してカート・ヴォネガット・ジュニア著『猫のゆりかご』を少し読み進めて今日はおしまい。

ヴォネガットの短編をまとめた本(おっきい!)も平積みされていたな。

 

以上。